世界銀行とウィーン世界経済研究所(WIIW)は4日、西バルカン諸国の労働市場に関する初めての報告書を発表した。それによると2010年から16年にかけて雇用が6%増加して30万人の雇用が生み出されたが、高い失業率を引き下げるにはさらなる雇用増が必要だとしている。
同地域では2009年の経済危機後に雇用が増加。失業率は以前に比べ低下したものの、依然として高率の21%となっている。これになんらかの理由で経済活動に従事していない者を含めると全体の40%に達する。特に女性や教育水準の低い層の非就業率が高い。
年齢別では、最近の雇用の回復によって年齢が上の世代ほど恩恵を受けていることがわかった。55歳から64歳までの年齢層については多くの国で20%以上雇用が増加した。また学歴が高い層ほど雇用の回復の度合いが大きかった。
WIIWのシュテーラー氏は「高等教育の学位を持つものの雇用が大きく増加した。これは若年層にも当てはまる」と述べた。一方、雇用回復の恩恵を受けられていないのは技能を持たず十分な教育を受けていない若年層だ。2015年の若年層の失業率は48%に達しており、低下傾向が見られるとはいえ依然として高い数値となっている。
今回発表された「2017年西バルカン労働市場概況」は、西バルカン6カ国(クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニア、アルバニア)の労働力調査に基づく共通のデータベースが構築されたことで実現した。