トルコ国民投票で改憲決定、大統領の権限強化へ

トルコで16日、大統領の権限強化に向けた憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、賛成票が51.4%となり改憲に必要な過半数を上回った。これにより首相職が廃止され、エルドアン大統領が行政権を握ることが確実となった。

21日時点の開票結果は賛成51.4%、反対48.6%で、エルドアン大統領の僅差の勝利となった。国内中部や黒海沿岸地域で賛成が多かったのに対し、イスタンブール、イズミル、アンカラといった都市部や経済の発展した地域では反対が多かった。また、トルコからの移民が最も多いドイツでは賛成が63.7%となり、トルコ国内の割合を上回った。

最大野党の共和人民党(CHP)は同国の高等選挙委員会に対し、選挙で不正があったとして投票無効の申し立てを行ったが、同委員会は19日、申し立てを却下した。

憲法の改正により、トルコは大統領が国家元首と行政の長を兼ねる体制に移行する。同国では昨年7月のクーデター未遂事件や相次ぐテロにより社会不安が増しているほか、昨年の国内総生産(GDP)成長率は前年比3.2ポイント減の2.9%に落ち込んだ。エルドアン大統領は自身の権力を大幅に強化することで国内社会と経済の立て直しを急ぎたい考えだ。だが、閣僚の任命や議会の解散、司法人事権なども同大統領が握ることから、従来の強権的な手法が強まることを懸念する声も大きい。

一方トルコ国会は18日、クーデター未遂事件後に発令された非常事態宣言の延長を承認した。延長は3回目で、期間は19日から3カ月間。反政府的とみなす人物や企業への締め付けが継続される。

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