米国のムニューチン財務長官は21日、「トランプ大統領との協議を踏まえ、エクソンモービルを含む米国企業に対し、対ロシア制裁での例外を認めない」という異例のコメントを発表した。エクソンモービルが財務省に黒海におけるロスネフチとの合弁事業の継続承認を申請したというメディア報道を受けたもので、トランプ政権が対ロシア政策における強硬姿勢を維持することを内外に示した形だ。
米メディアによると、エクソンは2015、16の両年にロシアにおけるロスネフチとの合弁事業に関連し、例外措置の適用を申請して承認された。今回の申請は15年、オバマ前政権の下で行われたという。
財務長官が明確なコメントを行ったのは、ティラーソン国務長官が就任までエクソンの社長を務めていたためだ。「エクソンを特別扱いしない」と明言することで、利益相反の疑いを払拭する狙いがある。
申請却下がエクソンの減益につながることはないが、将来の成長の可能性を狭めることは確かだ。合弁契約の規定により、エクソンは今年中に試掘を開始できないと、探査免許をはく奪されることもありうる。申請に当たっては「対ロシア制裁を実施しているはずの欧州諸国も、伊エニやノルウェー・スタトイルなどに例外を適用しており、このままでは競争に不利」と論じていた。