ハンガリー、自動運転テストコースで産業振興

ハンガリー北西部のザラエゲルセグで自動運転車のテストコースを設置する計画が進行している。同コース建設には独自動車部品大手コンチネンタルやボッシュなど多くの企業が既に協力を決定しているが、同市はテストコースをテコにさらにハイテク産業の誘致を進める姿勢を見せている。

自動運転車のテストコースの設置を目指すザラエゲルセグ市は過去2年間で10件余りの企業誘致に成功してきた。同市のヴァドヴァリ副市長によると、この間計3,000人以上の雇用が創出されたという。そのうち電子機器メーカー、フレックス(Flex)は2年間で合わせて2,300人を新たに雇用した。独印刷機器メーカーのエーデルマンは今年2月に約1,620万ユーロを投じて新工場を起工している。

テストコースの建設はザラエゲルセグのあるザラ県の最も重要な投資計画だ。総費用は400億フォリント(約1億2,800万ユーロ)になるとみられており、政府が60億フォリントを支出することを予定している。同市が250ヘクタールの土地を提供する他、インフラ整備に30億フォリントを支出する予定だ。

今年中に開始されるコース建設の第1段階は2018年に完了する予定だ。政府によると、テストコースの長さは500キロメートル。政府は同コースの設置によって、ハンガリー経済の競争力を強化し同国を欧州自動車産業の主要拠点とすることを期待している他、企業と研究機関の間の協力促進も狙う。

同テストコースについては、政府は昨年半ばにeモビリティと自動運転車関連の自動車メーカー及び部品メーカーとの間で、計画実施とテストコースの運営及び利用について基本合意した。合意参加企業にはコンチネンタル、ボッシュのほか、ZF、ティッセンクルップ・プレスタハンガリー、技術認証のテュフ・ラインラント、自動車用ミラーメーカーのSMRオートモーティブハンガリーなどがある。その他にハンガリー通信最大手のマジャールテレコムや中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)といった通信関連企業も参加している。

同市は同計画の実施によって、経済開発、ハイテク部門、イノベーション強化への波及も狙う。同市が提供する工業団地の南部地区にはフレックスが既に進出しているが、北部地域にはまだ十分なスペースがある。進出済みの60ヘクタールに加えさらに10ヘクタールがあり、中小企業に適した10余りの区画が設けられている。また敷地の他、同市と同工業団地の運営事業体が企業の生産施設の建設を一部負担することも可能だ。企業は安価な条件で賃借りすることができる上、将来的に市から買い取ることもできる。

工業団地の他、自動車道との接続道路や、ロジスティックス用のハブ施設が近接しているのも同市の利点だ。4車線を持つ接続道路R76と自動車道のM7を結ぶ道路の建設が計画されている他、2018年からはザラエゲルセグとヴァスヴァルを繋ぐ高速道路M9の建設が始まる予定だ。

同市近郊に建設が予定されている複合輸送ターミナルと物流センターも重要性が高い。これによって同市とスロベニアのアドリア海に面する町コぺルが直接結ばれる他、積替え能力も増強される予定だ。(1HUF=0.37JPY)

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