ロシアとトルコは22日イスタンブールで、2015年のロシア軍機撃墜事件を機に両国が相互に発動していた制裁措置の多くを解除する共同宣言を発表した。3日の大統領会談での合意を受けたもので、両国が加盟する黒海経済協力機構(BESC)の首脳会談に合わせて調印された。両国関係の正常化がまた一歩進んだ形だ。
報道によると、ロシアはトマトを除くすべての農産品の禁輸を解除する。また、トルコ人の査証制限も当面維持する。一方、トルコ政府は大統領合意後の11日にロシア産小麦の輸入を再開した。
ロシアとトルコの関係は2015年11月、トルコ軍によるロシア軍機撃墜事件を受けて急速に悪化。ロシア政府は16年1月から、トルコ産農産物の禁輸や、ロシア企業によるトルコ人の新規雇用の禁止、年間約3,300万人に上るロシア人観光客のトルコへの渡航禁止などの制裁措置を発動してきた。
しかし、エルドアン大統領が昨年6月に謝罪したことを機に関係が改善し、制裁措置も段階的に解除されてきている。
■事業環境改善や海運強化を提言
ロシアとトルコは共同宣言で、「今回、BESC設立25周年を記念して首脳会議が開催されたことは、加盟国がこれまでの協力を継続する意思を表明するもので、今後10年を見据えトップレベルでの意見交換をする場となる」と評価した。また、加盟国間の提携事業に、より多くの民間企業の参加をうながすため、BESCビジネス会議を通じて公共・民間の協働体制を強め、事業環境改善を図る試みを歓迎する立場を示した。
さらに、交易・経済協力における海運の重要性を強調。「新たな海運の機会を確保し、安全性を向上させることで加盟国が黒海地域にとどまらずグローバル経済で活躍できる地盤を整えることを後押しする」とした。
地域の持つ潜在性を引き出し、活用していく目的で、中小企業や自営農家、女性や若者、障害者、難民、国内避難民(IDP)などの経済参加をうながしていく重要性も強調した。
BESCは1992年、トルコの提唱で地域の平和・安定・発展を目的に設置された。加盟国はアルバニア、アルメニア、アゼルバイジャン、ブルガリア、グルジア、ギリシャ、モルドバ、ルーマニア、ロシア、セルビア、トルコ、ウクライナの12カ国。