難民受け入れ分担で3カ国が義務不履行、欧州委が法的手続きに着手

欧州委員会は13日、ポーランド、ハンガリー、チェコがEU加盟国に割り当てられた難民の受け入れを拒否したとして、3カ国に対する違反手続きに入ったことを明らかにした。今後の調査で当該国がEU法に抵触していると判断し、その後も是正措置が取られない場合、欧州司法裁判所に提訴すると警告している。

EUは2015年9月、中東や北アフリカから域内に流入する難民や移民への対応策として、2年間でシリアなどからの難民16万人を加盟国が分担して受け入れることを決めた。大量の難民が押し寄せるギリシャとイタリアの負担を減らすため、両国に到着した難民を他の加盟国に移送させるという内容で、各国の経済規模や人口に応じて受け入れ人数が割り振られている。

難民の受け入れ分担をめぐっては、東欧諸国などが強く反発。ハンガリー、チェコ、スロバキア、ルーマニアは最後まで反対の姿勢を崩さなかったため、閣僚理事会は全会一致の合意を断念して採決に踏み切り、賛成多数で分担案の導入を決めた経緯がある。

欧州委は先月、ハンガリーとポーランドに対して6月中に移民の受け入れを開始するよう迫り、従わない場合は制裁を科すと警告していた。一方、チェコは初期段階で12人を受け入れたものの、その後は受け入れ義務を履行していないため、違反手続きの対象となった。ただ、他の加盟国でも難民の受け入れは大幅に遅れており、これまでにギリシャとイタリアから移送された難民は約2万1,000人にとどまっている。

欧州委の決定について、ハンガリーのシーヤールトー外相は「難民の受け入れを加盟国に強制することはEU基本法に抵触する」と指摘し、「(欧州委の)脅迫には屈しない」と発言。ポーランドのヴァシチコフスキ外相は、加盟国が受け入れを義務付けられているのはほとんどが本国に送還すべき不法移民であり、国際的な保護が必要な難民ではないと指摘したうえで、「欧州委の判断は間違っている」と批判した。また、チェコのソボトカ首相は「急速に欧州の治安が悪化しているなか、難民の移送計画に参加することはできない」と述べた。

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