中東欧のデジタル化が加速

中東欧諸国がデジタル化で西欧諸国に追いつき始めている。オーストリア金融大手のエルステ・グループが6月22日に発表した報告書によると、インターネットアクセスやブロードバンド通信の利用などは西欧諸国とほぼ同等のレベルに達し、デジタル化の度合いにおける西欧諸国との差は数年程度にまで縮まっていることがわかった。一方で電子政府など公共部門のデジタル化では大きく立ち遅れていることが指摘された。

デジタル化の程度を評価した同報告書はポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、スロベニア、クロアチアの中東欧7カ国を対象としたもの。調査対象のうちもっとも高い評価を得たのはチェコで、スロバキアとポーランドがそれに続いた。最も順位が低かったのはルーマニアだった。2004年以降最も伸びが著しかったのはスロベニアとクロアチアだった。

デジタル化に関連したインフラストラクチャーについて西欧の欧州連合(EU)加盟15カ国と比較した場合、一般家庭のインターネットアクセスは4年、モバイルによるブロードバンド接続は2年の遅れがあることがわかった。一般家庭の全体の79%がインターネットに接続されており、西欧15カ国との差は8ポイントに過ぎない。これは社会資本や自動車道路網の整備で30年以上の遅れが見られるのとは対照的だ。

エルステ・グループのアナリスト、コティアン氏は、中東欧諸国ではデジタルインフラは比較的発展しているが、デジタル化の利点は十分に享受されていないと指摘。デジタル化は新興国が先進国に追いつくキャッチアップを加速すると考えられることから、デジタル化の拡大と国民の利用に対する支援を強化することに重点を置くべきであると強調した。

同アナリストのアロクスザラシ氏は、公共部門、特に電子政府での立ち遅れを指摘し、行政サービスのデジタル化は他の部門に好影響をもたらし生活の向上につながると述べた。

電子政府の推進は地域の生活を向上させるのに有用だ。電子政府の拡大と汚職の間には相関関係あり、デジタル化が進み透明性が高いほど汚職が少なくなっていると報告書は指摘する。またデジタル技術に関する知識の普及を促し、民間部門への波及効果をもたらすという。好例はエストニアで、税務申告の95%、送金の98%がオンラインで行われている。

デジタル化は中小企業にもメリットをもたらす可能性がある。同報告書は同地域の国々では導入が進んでいない企業資源計画(ERP)ソフトのような企業向けソフトウエアの利用拡大を促すことができると指摘している。

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