ロシアのチェリャビンスク州、スタートアップ企業を支援

ロシアのウラル地方にあるチェリャビンスク州が同国のイノベーション事業を牽引しようとしている。同州マグニトゴルスク市がロボット技術に特化したテクノロジーパークを建設するほか、チェリャビンスク市の「ITパーク74」ではスタートアップ企業に対し施設や資金を提供する事業が開始されている。こうした地方政府の取り組みを連邦政府も注目しており、同州で生まれた企業を連邦政府が支援するイノベーションセンターに入居させるなどの動きも出ている。

チェリャビンスク州は2035年までに産業構造の転換を図ることを目指しており、チェリャビンスク市とマグニトゴルスク市にテクノロジーパークを開設する計画だ。マグニトゴルスクではロボット技術に特化し、実験施設や展示施設と共に作業・生産施設を建設して生産体制を整備することを目指している。

同地域の2つの機関、チェリャビンスク地域クラスター開発センターと南ウラル産業クラスター「ロボティクス・ヒューマンマシン・インターフェース」がプロジェクトを推進する目的で、LLCロボティクス・サイエンスアンドテクノロジーパーク社を設立している。

マグニトゴルスク市のテクノロジーパークについては先月、同州のドゥブロフスキ知事が優遇措置の拡大を検討していることを明らかにしている。現在12の企業が入居を計画しているほか、3つの外国企業を含む29の投資家が関心を示している。

同市では既にロボット技術に関連した研究開発が行われている。アンドロイドテクニカ社は、大陸棚の石油及びガス田の開発時にダイバーに代わって作業を行うことのできるロボットを開発している。特に利用が期待されるのは北極地方における開発だ。ロボットの活用でダイバーの3分の1を削減することができるほか、水深300メートルでも作業できるという利点がある。

チェリャビンスク市では又、ロボット以外の分野でもイノベーションを促すためのプロジェクトが進行中だ。州政府は「情報技術テクノロジーパーク74」(IT-Park 74)と名付けられたシードアクセラレーター(スタートアップ企業の支援組織)に資金を提供し、新事業の立ち上げを後押ししている。スタートアップ企業は6カ月間支援を受けることができ、その間に銀行や製品ユーザーなど事業パートナーを見つけることが可能となっている。

特に優れたプロジェクトは連邦政府が支援するイノベーションセンター、スコルコボ(Skolkowo)の評価を受けることができる。既に南ウラルから20の企業がスコルコボに入居済みだが、2017年にはさらに会計情報解析システム、ビッグデータ分析ソフト、電子書籍向けプラットフォーム、神経学に基づくストレス制御システムなどの事業が候補に挙がっている。

ドゥブロフスキ知事によると、スコルコボのイノベーションセンター自体がチェリャビンスク州に出先機関を開設するという話もあるという。ただしスコルコボを対象とした連邦プログラムをチェリャビンスク州にも適用できるよう連邦議会の承認を得る必要がある。それについてはまもなく下院にあたる国家院で第一読会が開かれる予定だ。

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