石炭の電源構成比、30年には6割以下に

ポーランド政府は電源構成に占める石炭火力発電の割合を2030年までに2015年の81%から60%以下に縮小させる方針だ。残りはガス火力・原子力発電、再生可能エネルギーでまかなう。ただ、資金調達が進んでいない原子力開発を継続するかどうかは年末をめどに結論を出す。

トビショフスキ副エネルギー相は11日、石炭業界の経営者、労組と政府の代表で構成する三者会議の会合後に記者会見した。「エネルギー政策の策定にあたっては、国家の安全と経済的利益の保護が大前提」と断ったうえで、石炭への依存を引き下げる方針を明らかにした。これにより、欧州連合(EU)による環境規制(二酸化炭素排出削減)の達成に取り組む姿勢を示した形だ。この関連で、ジェンドリセク副環境相は、政府の天然資源政策がEU規制の影響を和らげることができるとの見解を示した。

トビショフスキ副エネルギー相はまた、ポーランド初の原子力発電所を設置するプロジェクトを継続するかどうかが年内に決定されると述べた。同プロジェクトの費用はこれまでに2億ズロチ(4,700万ユーロ)に上っている。だが、政府はこれ以上、国庫から費用を捻出することはできないとして、資金調達を模索しているところだ。

ポーランドは石炭資源が豊富で、鉱業界の政治的発言力が強いことでも知られる。国策として取り組む一次エネルギー自給率引き上げに当たっては、ロシア産天然ガスへの依存を低減し、石炭へ転換するのが最も容易だ。ただ、EU環境規制で二酸化炭素排出量の削減が求められており、一次エネルギー自給率の向上と石炭利用の抑制の板ばさみになっている。

国際エネルギー機関によると、ポーランドの一次エネルギー需要(供給量ベース)に占める熱源の内訳は2015年に、石炭・褐炭が51%、石油が25%、天然ガスが15%、再可エネルギーが10%(四捨五入値のため、合計が100%とならない)。発電量に占める電源では、石炭・褐炭が81%、再可エネが14%、天然ガスが4%、石油が1%となっている。(1PNL=30.61JPY)

上部へスクロール