ウクライナ東部の親ロ派が新国家樹立を宣言

ウクライナ東部を実効支配する親ロシア勢力が18日、ウクライナに代わる「新国家・小ロシア(マロロシア)」の樹立を宣言した。停戦・和平の道筋を示す2015年のミンスク協定に反する行動で、対立の先鋭化が懸念される。米国は「新国家樹立」の背景にロシアの存在があるとみているが、ロシア側は親ロシア「ドネツク人民共和国」を率いるザハルチェンコ氏の「単独プレー」だとして関係を否定している。

「小ロシア」は帝政ロシア時代のウクライナの呼称で、タス通信によれば、「新国家」はクリミア半島を除くウクライナ全域を領土としている。樹立を宣言したザハルチェンコ氏は、「混乱を防ぐ」ため、非常事態を宣言する(期間3年)とともに、ドンバス地方、マイダン広場(反ヤヌコビッチ運動)、オデッサで犯された「犯罪捜査」の開始や憲法制定を予告した。

ウクライナ東部のドネツク地方では、武力紛争開始直後の2014年春、親ロ派勢力が一方的に「ドネツク人民共和国」と「ルハンスク人民共和国」を設立した。今回の「新国家宣言」について「ルハンスク人民共和国政府」関係者は「わが政府は同意していない」と話しており、ザハルチェンコ氏の行動が実際にどれほどの意味を持つのかは不透明だ。

ミンスク協定は、◇戦闘の停止(停戦)◇ウクライナ法に基づく地方選挙の実施◇外国軍・よう兵の撤退と非合法集団の武装解除◇非集権化を骨子とする憲法改正――などを内容とする。ウクライナ東部の親ロ派地域に高度な自治権を認める方向で紛争を解決するという道筋だ。

ただ、これまでのところ、全ての前提となる停戦がなかなか守られず、事態はこう着している。国連統計によると、2014年の内戦開始以来の犠牲者は1万人を超える。

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