ポーランド政府、EV普及に本腰

ポーランドが電気自動車(EV)の普及に向けた取り組みを始めている。今年に入り政府がEVの普及台数100万台に向けた行動計画を発表したほか、新法を検討中だ。公共交通機関に利用する電動バスの開発コンペが実施されるなど、政府関係機関の支援も始まっている。一方、充電インフラの不足やEV価格に比し低い購買力など、普及に向けて多くの課題が残されている。

ポーランドにおけるEVの普及はまだ緒に就いたばかりだ。昨年輸入された新車及び中古車145万台のうちEVは556台と販売は低迷している。充電施設の数は2016年時点で324カ所と、7,000カ所ある英国を始め西欧諸国に比べ非常に少ないものにとどまっている。

充電インフラ以外にもEV普及に向けた課題は多い。市場調査会社フロスト&サリバンによるとEVの販売価格も障害となっており、同国で最も売れているEVは従来のガソリンエンジン車に比べ各段に高価だ。最も安いBMWの小型車「i3」でも4万ドルと、同クラスのシュコダの小型ガソリン車「ファビア」の1万4,000ドルを大きく上回る。

これまで政府はEV促進を目的とした大幅な助成措置は導入してこなかった。PAコンサルティングのローレンス氏は、「(eモビリティ促進に)最も成功している市場では、政府によってメーカーと消費者双方に対する助成が行われてきた」と指摘する。

こうした中、今年に入り政府が発表したのが2025年までにEV100万台の普及を目指す野心的な行動計画だ。同計画には充電施設6,400カ所の2020年までの設置や、同国メーカーによるEVの開発などが含まれている。それに基づき政府はeモビリティ及び代替燃料を促進するための法案を現在準備中だ。同法案には、EVに対する物品税の廃止、充電施設への不動産課税の免除、道路上のバス専用レーンの走行許可、駐車スペースの無料利用などが助成措置として取り入れられる可能性がある。但しノルウェーのような現金給付は検討されていない模様だ。

コンサルタント会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のミハルチュク氏は、ポーランドでは電動バスの方が成功する可能性が高いと指摘する。今年2月には41の市町村が2020年までに電動バスを導入していくことで合意するなど政府も後押しする構えだ。

同国のバスメーカーのうち、ソラリス、ウルスス及びソルブスは既に電動バスの生産を開始している。ソラリスの「ウルビノ12」のEV車両は昨年ドイツで開催されたフランクフルトモーターショー(IAA)でEVとして初めて「バス・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。これは同国メーカー初の快挙でもある。

また同国の国家研究開発センターは環境にやさしいバスの設計コンペを開催中だ。参加企業は24の自治体の示す仕様を満たす必要があるが、各自治体は選出された車両の購入を約束している。

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