モンテネグロ政府は、主要港湾であるバール港の部分民営化を推進する方針だ。現時点で中国及びアラブ圏の投資家が関心を示している。モンテネグロは過去にも同港の民営化を試みたものの、白紙に戻した経緯がある。
ヌルコヴィッチ交通相によると、政府は港湾運営会社の中核事業のみを民営化する方針。規模や入札日程などの詳細は明らかにされていない。
セルビア政府は昨年12月、バール港運営会社の株式30%を入札にかけた。ポーランドのOTロジスティクスが唯一応札し、852万ユーロ(1,000万米ドル)で落札した。同社は翌1月、鉄道貨物輸送会社モンテカーゴの51%の民営化入札にも参加。他社からの応札がなかったため250万ユーロ(プラス1,745万ユーロの投資)で落札した。
しかし、政府は今年4月、民営化の方式が政府に不利だとし、バール港とモンテカーゴの両方についてOTロジスティクスとの交渉を打ち切った。
バール港はアドリア海に面する海港だが、陸上輸送インフラの不備が成長の足かせとなっている。中国は対中欧輸出の中継地として同港に注目しているもようだ。中国政府系のインフラ建設会社、中国路橋工程(CRBC)はすでに、バールとセルビア国境を結ぶバール・ボリャレ高速道路(全長164キロメートル)の建設を受注し、工事を進めている。また、セルビア政府は今年5月、この高速道とベオグラードと結ぶボリャレ~ベオグラード高速道のプレリナ~ポジェガ区間とポジェガ~ボリャレ区間(合計全長140キロメートル)をCRBCに発注することで同社と基本合意している。