11月11日はポーランドの独立記念日。オーストリア、ロシア、プロイセンによる領土分割から123年後の1918年に、再び独立国として認められたことを祝う日だ。ワルシャワではカトリック保守派の行進が恒例となっているが、今年は単なるナショナリズムにとどまらない人種差別的・外国人排斥的な横断幕やシュプレヒコールが登場し、外国からも注目を集めた。
数万人が参加したこの行進に対する見方は政治的立場によってきっぱり分かれる。野党「市民プラットホーム(PO)」のスヘティナ党首が「憎悪の気持ちを呼び起こし、人種差別・外国人排斥の思想を広げるもの」として、行進を組織した団体の禁止を求める一方で、与党「法と正義(PiS)」の閣僚・議員らは「人種差別はいけないことだが、行進に参加した人のほとんどはポーランドを誇りに思っている普通の市民」として問題の矮小化に務めている。
PiSの政治家の発言は、同党がとってきた立場を象徴的に示している。PiSはバリバリの政治的右派。PiSが保守的国民の支持を集めたことで、本来の極右団体の勢いがそがれたことは間違いない。しかし、国民の支持が得られたのは、右派が得意としてきた「テーマ」を自分のものにしたからだ。
反ユダヤ主義こそ政策には取り上げていないが、欧州に大量の難民が到来した2015年、カチンスキーPiS党首は下院選挙戦で「イタリアで難民が教会に立小便している」、「難民がポーランドに寄生虫やばい菌を持ち込む」といった発言を繰り返し、過半数票を勝ち取った。外国人や難民に対する不安に便乗した形で、『ジェチポスポリタ』紙はPiSが「ぎりぎり合法の右派」になったと評した。
極右との境目はあいまいになっている。それが、極右がカトリック保守派の行進に堂々と参加した事実に現れている。