自分撮り用「小道具」のレンタルサービスがロシアで人気を集めている。インスタグラムなどのソーシャルネットワーク(SNS)で「豪華で幸せな生活」を演出するためのもので、体面を大事にし、持ち物で社会的ステータスをアピールする人の多いロシアを象徴した商売だ。
手に抱えきれないほどのバラの花束から、iフォンやレイバンの眼鏡といったブランド品の化粧箱、ティファニーのギフトボックスと花束に加えて鍛え抜かれた男性(写真では顔をカット)が乗ったBMWの新型車、豪華版「自家用」飛行機まで、いろいろなものが借りられる。
お値段は赤いバラの花束(101本、10分間)が800ルーブル(約12ユーロ)、ブランド品のギフトボックスを追加すると300ルーブル。「新型BMWセット」は80ユーロ、自家用機は160ユーロ。皆が借り物で写真を撮り始めると競争が激しくなり、レンタルする品物も高くなる。
しかし、度を超すと身の危険を招く。警察は相次ぐ事故を受けて2年前に広報キャンペーンを実施し、「屋根の上や送電鉄塔、線路上での自分撮りを控える」ように呼びかけた。
極端な例を挙げると、今年4月にクラスノダルで捕まった大量殺人犯は、犠牲者との自分撮り写真を携帯電話に保存していた。さすがにSNSで公開することはなかったが、その携帯電話を無くしたことがきっかけで御用になったという。(1RUB=1.90JPY)