ポーランド下院は12日、マテウシュ・モラヴィエツキ氏(48)を首班とする新内閣を信任した。与党・法と正義(PiS)が予告していた「内閣改造」の一環で、モラヴィエツキ首相は引き続き、経済開発相と財務相を兼任する。シドゥウォ前首相(54)はモラヴィエツキ氏に代わり、副首相を務める。そのほかの閣僚人事は以前のままで、現地メディアは「新しくて古い内閣」と揶揄(やゆ)している。
モラヴィエツキ新首相はドイツ、米国への留学経験のある経済専門家。英語、ドイツ語、ロシア語を流ちょうに話す「百万長者(現地紙)」で、特注スーツに身を包むその姿はPiSの支持者が敵視する「既得権階層」のイメージ通りだ。炭鉱労働者の家庭出身で、2人の子どもを持つ「村のおっかさん」として高い人気を誇るシドゥウォ前首相が築いた、PiSの高支持率(47%)に影が差すとの見方もある。
それにも関わらず、モラヴィエツキ氏が首相に就任した背景には、司法制度改革やメディア法改正などをめぐり、欧州委員会との関係が悪化していることがある。事態改善には人当たりが良く、交渉能力に長けた人物を首相に据えるべきとの判断が働いたようだ。
いずれにしても、カチンスキーPiS党首が実権を握る事態には変わりなく、新首相の就任で政府の方針が大きく変わる可能性は小さい。