カザフの実業家、露金採鉱大手の事業拡大へ

カザフスタンの実業家ケンゲス・ラキシェフ氏が、出資するロシアの金採鉱大手ペトロパブロフスクの事業拡大に乗り出した。23日付の英『フィナンシャルタイムズ』(FT)によると、昨年12月に同社の株式22パーセントを取得した同氏は、自らを取締役に選任することや企業買収による事業拡大を求めて他の株主に接触している模様だ。

ラキシェフ氏はFTに対し、「ペトロパブロフスクは債務再編を完了しており、今後は事業を拡大していく必要がある」としたうえで、中央アジアやロシアにある3つの金鉱山を買収するべきだとの考えを示した。特に鉱業部門を自由化しつつあるウズベキスタンにある鉱山が有望だと述べた。

同氏は昨年12月にロシアの富豪ビクトル・ベクセルベルグ氏が保有する企業グループ、レノバ(Renova)からペトロパブロフスクの株式22%を取得した。レノバは同年7月、ペトロパブロフスクの元社長で創業者の1人であるピーター・ハンブロ氏を取締役会から排除する提案に賛成している。

ラキシェフ氏はペトロパブロフスクのもう1人の創業者パーベル・マスロフスキー氏を呼び戻す意向を持っているほか、同社傘下で、香港で上場している鉄鉱石採掘会社IRCの株式31%を売却する方針だ。

カザフスタンのBTAバンクの社長を務めるラキシェフ氏は以前、カナダの金鉱山開発業者ロバート・フリードランド氏と共同で金鉱山に投資したことがあるほか、カザフスタンのベースメタル採掘事業者である中央アジアメタル(Central Asia Metals)を間接的に保有している。昨年にはスマートフォン事業に関連し、仮想通貨による資金調達を目的としたイニシャル・コイン・オファーリング(ICO)を行った。

ペトロパブロフスクは1994年にハンブロ氏とマスロフスキー氏によって設立された。ロシア極東のアムール地方などに金鉱を持つ。現在、株式の9%はロシアの政府系銀行VTBが保有している。

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