韓国のサムスン電子は26日、スロバキア西部トルナバ県における生産事業を現在の2工場から1工場へ集約すると発表した。長引く人材不足が理由。4月にヴォデラディ工場を閉鎖し、ガランタ工場へ生産を移管する。ヴォデラディ工場の正社員全員にガランタ工場への異動を保証する。
サムスンはガランタ工場で薄型テレビを生産する。その部品である液晶モジュールを供給するのがヴォデラディ工場だ。しかし、両工場とも業務は組立作業で、負荷価値は高くない。人手不足が深刻化するスロバキア西部で人材を確保するにも賃上げは難しく、今回の決定につながった。
スロバキアはこれまで国際大手企業の進出地として栄えてきたが、今後はこれら企業が他国に拠点を移す傾向が強まりかねない。人手不足に加え、頻繁な法改正や雇用費用の上昇が背景にある。スロバキア・ドイツ商工会議所によると、ドイツ企業の間でもスロバキアからの移転を具体的に検討しているところがある。
政府は人手不足対策として、正社員の3割を限度に欧州連合(EU)外の国から採用を認め、雇用手続きを迅速化させる法律制定を計画している。