欧州医薬品庁(EMA)は9日、ハンガリー製薬大手リヒター・ゲデオンの子宮筋腫治療薬「エスミヤ(esmya)」(一般名:ウリプリスタール酢酸エステル)の新規投与を当面見合わせるよう改めて勧告した。同剤の服用と重篤な肝機能障害との関連性の調査がまだ継続しているためだ。投与中の患者を除いて、調査が完了する5月末まで使用しないことを推奨している。
市販後の医薬品の安全性を監視するEMAのファーマコビジランシー・リスク監視委員会(PRAC)は、エスミヤの副作用として重篤な肝機能障害4件が報告されたのを機に、昨年12月初めに調査を開始した。同剤は3カ月を限度に処方され、治療結果に応じ、間隔を置いて再び処方される。EMAでは、服用中の患者については1カ月に1回以上、肝機能検査を行い、異常が認められれば直ちに服用を止めるよう呼びかけている。
エスミヤは黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用を阻害することで子宮筋腫の成長を抑える効果がある。当初の適応は緊急避妊だけだったが、2012年に子宮筋腫も加わった。
■第4四半期は70%減益
リヒター・ゲデオンが12日発表した2017年第4四半期の純利益は前年同期比70%減の66億フォリント(2,110万ユーロ)となり、アナリスト予想を大きく下回った。金融損失に加え、納税額がかさんで足を引っ張った。通期純利益は23%減の512億フォリント(1億6,400万ユーロ)だった。今年の通期売上高予想は、エスミヤが不確定要素となっているため、公表を延期した。
リヒターはEMAの勧告を前に、8日に予定していた17年四半期決算発表を遅らせた経緯がある。(1HUF=0.43JPY)