西バルカン諸国の加盟問題、外相会合で立場の違い鮮明に

欧州連合(EU)加盟国は15日、ブルガリアの首都ソフィアで外相会合を開き、欧州委員会が今月6日に発表した西バルカン地域6カ国のEU加盟に向けた新戦略について協議した。加盟交渉で先行するセルビアとモンテネグロに関しては、2025年の加盟を目標とする提案に対し、ハンガリーなどが加盟時期を前倒しすべきだと主張する一方、ドイツやフランスなどは法の支配の徹底などの条件を満たしていないとして早期加盟に難色を示し、加盟国間で立場の違いが浮き彫りになった。

新戦略は、すでに「加盟候補国」となっているセルビア、モンテネグロ、アルバニア、マケドニアと、「潜在的な候補国」のボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボの6カ国のEU加盟に向けた道筋を示したもの。地政学的に重要な位置にあるバルカン半島では近年、ロシアや中国が存在感を強めており、英国のEU離脱で加盟国の結束が揺らぐなか、バルカン諸国の早期加盟に向けて支援を強化する方針を打ち出した。

ハンガリーのシーヤールト外相は記者団に対し、「セルビアとモンテネグロについては25年ではなく、22年の加盟を認めるべきだ」と発言。オーストリアのクライスル外相も「ベオグラードに先に入り込むのは中国か、それともEUか」と述べ、加盟交渉を加速させる必要があると強調した。

これに対し、ドイツのガブリエル外相は後発でEUに加盟したポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアなどで法の支配が徹底されていないと指摘し、すべての加盟条件を満たさない限り、バルカン諸国の受け入れは容認できないと述べた。スロベニアのエリヤヴェツ外相も「人権の尊重や汚職の排除などの取り組みが十分に進んでおらず、25年の加盟は非現実的」との考えを示した。

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