チェコ電力最大手で国営のCEZは22日、監査役会の承認を受け、ブルガリア投資会社イネルコム・インベストメンツに同国事業を売却すると発表した。取引金額は明らかにされていないが、「14年間の投資に見合う」(CEZ)水準を確保した。取引にはブルガリア競争当局の許可が必要となる。
売却の対象となるのは、◇配電会社CEZディストリビューション・ブルガリア◇電力供給会社CEZエレクトロ・ブルガリア◇電力取引会社CEZトレード・ブルガリア◇ITサービス企業CEZ ICTブルガリア◇ソーラーパーク運営会社フリーエナジー・プロジェクト・オレシェツ」◇バイオマス発電所運営会社バラ・グループ◇ブルガリア事業の統括会社CEZブルガリア――の7社だ。
CEZは2005年に配電会社3社を買収してブルガリア市場に進出。2006年にはヴァルナ火力発電所を買収するなど、事業を拡大してきた。しかし、ブルガリア政府の措置がエネルギー憲章条約(ECT)の投資保護義務に反するかどうかで政府と意見が対立し、関係が悪化。2016年には数億ユーロの賠償を求め、世界銀行グループの国際投資紛争解決センター(ICSID)に調停を申請した。CEZは今回の売却に関わらず、調停手続きの継続を求める方針だ。
CEZは昨年、ブルガリア事業を売却し市場撤退する方針を明らかにし、買収を希望する企業と交渉を進めてきた。ヴァルナ発電所はすでに昨年12月、物流会社SIGDAに売却した。