チェコがカナダとの航空宇宙分野での協力を進めている。先ごろカナダの同分野の企業関係者らが参加する代表団がチェコを訪問し、同国の航空宇宙関連企業などと協力に向けた会合を行った。昨年5月にはチェコの代表団がカナダを訪れるなど同分野における両国の関係は深まっている。カナダは航空宇宙分野では世界3位の生産額を誇る一方、チェコでも約1万人を雇用する産業に育っている。昨年9月には欧州連合(EU)とカナダの包括的経済貿易協定(CETA)が発効しており両国の協力は今後ますます盛んになる見通しだ。
カナダ企業などの今回の訪問を受け、チェコ貿易産業省のベルトル副大臣は、チェコにおけるカナダの存在感はまだ小さいとして自由貿易協定の発効と合わせ今後の拡大に期待を示した。一方、日本の三菱重工の子会社で航空機部品を製造するMHIカナダエアロスペースの関係者はチェコの魅力として、高い技術水準、製品と供給体制の質の高さ及び低コストを挙げた。
チェコ最大の航空機メーカー、アエロ・ヴォドホディ(Aero Vodochody)は、エアバスやボーイング、米ヘリコプターメーカーのシコルスキーなどからの受託生産を行うほか、カナダのボンバルディアの設計も手掛けるなど同国との関係も深い。
チェコには航空宇宙関連企業が60以上ある。特に軽飛行機ではドイツ、フランス、イタリアに次ぐ4位と欧州でも最大規模の生産量を誇る。航空機部品についてもジェットエンジン、ターボプロップエンジンを生産しているほか、システムについても現地に進出している米ハネウェイやGEアビエーション、チェコ企業が製造を行っている。このうちハネウェイは現地に研究所を置き、研究開発と設計を行っている。