メッセージングアプリ「テレグラム」、ロシアで使用禁止

ロシア通信規制庁は16日、国内におけるメッセージングアプリ「テレグラム」へのアクセス制限を開始したと発表した。連邦保安庁(FSB)に暗号化メッセージの解読キーを提供することを義務付けた法律に抵触したという訴えが、地方裁判所の13日判決で認められたためだ。テレグラム側は、「ロシアの裁判所が常に行政の味方であることを示した例」として、同国で事業を展開する技術企業に警鐘を鳴らしている。

ロイター通信によると、テレグラムは世界で9位の人気を誇るメッセージングアプリで、旧ソ連諸国や中東を中心に、2億人以上が定期的に利用している。メッセージや文書、写真、ビデオを暗号化して最大5,000人に送信できる。利用が無料であるばかりでなく、一般の方法では解読が難しいのが特長だ。

FSBはテロ対策などを理由とし、テレグラムに対し、今月4日までにメッセージ解読キーを提供するよう求めていた。しかし、テレグラムは「個人情報保護」を理由に拒否した。

テレグラムのパヴェル・ドゥロフ社長によると、規制庁がアクセスを制限しても、アプリ設定を変えればサービスが一部利用できる。また、バーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)接続を利用すれば、通常通りメッセージが交換できるという。

テレグラムは、個人情報を尊重する姿勢がユーザーに受け入れられ、急速に人気を伸ばした。しかし、「イスラム国(IS)」やその支持者も利用していることが問題になっている。FSBによれば、昨年4月のサンクト・ペテルブルグ地下鉄自爆テロ事件でも、犯人がテレグラムを使って共犯者と連絡をとっていたという。

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