エストニアのIT企業デイテルは17日、人工衛星を使ったインフラ監視システム「シレ(Sille)」を導入すると発表した。橋梁や鉄道、パイプライン、港湾、鉱山などの管理を支援するもので、これまでよりも安く運用できることから、中小企業などと契約を結ぶことができると見込んでいる。
同システムは衛星から送られてくるデータを分析することで、インフラ構成部材の位置的ずれをミリメートル単位で感知できる。これにより、早い段階で事故の可能性や補修の必要がわかり、安全対策が強化できる。
コッリ社長は、「このような監視サービスは費用がかかり、今までは世界的なインフラ大手や国防・保安機関(政府)にしか手が届かなかった。シレは、中規模の企業・機関の資金力でも利用できる」と、価格競争力を強調した。また、世界のどこでも素早く運用が始められるのも魅力だ。
デイテルは米メリーランド州政府及びエストニア道路管理局(MNT)と提携してシレの実用試験を行っており、近く正規サービスを開始する計画だ。メリーランド州とは本契約を結んでおり、エストニアや米国、欧州諸国からも引き合いが来ているという。
デイテルは1990年の創業。エストニア電子政府システムの中核となる土地情報プラットホームを開発し、世界に通用する製品に育てた実績がある。次世代地理情報システムを得意とし、すべてのプラットホームに対応する、操作しやすい地点情報ソリューションを提供する。
シレは欧州宇宙機関(ESA)と提携して開発した。