S7航空、海上ロケット発射基地を取得

ロシア国内線最大手のS7航空はこのほど、国営航空宇宙企業体エネルギヤから海上ロケット発射基地を運営するシーローンチ(スイス)を買収する手続きを完了した。移動発射基地「オデュッセイ」のほか、打ち上げ司令船、関連設備、知的財産権を取得する。

2016年に計画を発表していたが、米国当局の許可取得に15カ月を要し、手続きが遅れていた。今後は打ち上げロケットの選定など、具体的な準備作業が課題となる。

打ち上げロケットについては、ウクライナと共同開発した「ゼニト」を使うのは同国との関係悪化で非現実的となっている。このため、ゼニトに似たロシア産の「ソユーズ5」を使う方向だが、連邦宇宙局(ロスコスモス)のコプテフ科学技術委員長によれば、発射できるまでに4~5年はかかる見通しだ。

シーローンチは1995年にロシア、米国、ウクライナの合弁で設立された商用ロケット打ち上げ会社。2009年に金融危機の影響で債務超過に陥り、合弁パートナーの一員であったエネルギヤが資金を注入し、出資比率を95%に引き上げた。しかし、14年のウクライナ危機を機に「ゼニト」が調達できなくなり、打ち上げを中止している。

S7は当初、当局の買収許可取得の18カ月後に打ち上げを再開する計画だった。

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