「自然保護策」による自然破壊~ポーランド

ポーランド政府がビャウォビエジャ自然保護区内での伐採作業を許可したことに対し、欧州委員会が欧州法に違反していると訴えていた裁判で、欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所(ECJ)が先ごろ、欧州委の主張を全面的に認める判決を下した。ポーランド政府は判決に従うことを約束し、自然保護をめぐる議論が一段落した格好だ。

ビャウォビエジャ自然保護区はポーランドとベラルーシの国境地帯に広がる。1,500平方キロメートル弱の保護区内には「欧州最後の原生林」が息づき、希少な植物や動物が生きる場となっている。このうちポーランド領の630平方キロメートルは欧州法で定める保護地区「ナトゥラ2000」に指定され、森林資源の利用が大きく制限されている。

ところが、ポーランド政府は2016年春、樹木の年間伐採量を従来の3倍に当たる18万立法メートルに引き上げる決定を下した。シュシュコ環境相(当時)は害虫対策が理由と説明したが、欧州裁判所は「伐採のほうが森林に与える害が大きい」と判断した。

裁判所は今回、ポーランドが伐採を中止し、大型機械を森から移動させたことを評価し、罰金は見合わせた。しかし、環境保護団体らは政府を信用できないとして、今後の自然保護策を注視していく姿勢だ。

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