米S&P、トルコ国債を格下げ

大手格付け会社の米S&Pグローバル・レーティングは1日、トルコの外貨建て長期債務の格付けを従来の「ダブルB」から「ダブルBマイナス」に引き下げたと発表した。見通しは「安定的」で据え置いた。

S&Pは「経常赤字拡大を背景にトルコ通貨のリラ売りが続き、インフレ懸念が強まっているため、通常の見直し時期を待たずに格下げを決めた」と説明した。過熱していた景気が急激に失速し、経済に大きな混乱が生じる「ハードランディング」が起こる可能性もあると指摘した。

トルコのインフレ率は2017年初め以来、ほぼ10%を超えている。中央銀行は先月25日、事実上の上限金利である後期流動性貸出金利を13.5%に引き上げたが、S&Pは景気過熱を抑えるにはさらなる利上げが必要とみている。

リラ安によって、外貨建て債務も膨張している。英フィナンシャル・タイムズ系の金融専門誌『バンカー』によると、民間企業の外貨建て債務は3,260億米ドルと過去最大に達した。政府債務も40%が外貨建てで、為替相場の動き次第では償還が難しくなる可能性もわずかながらあるという。

2017年の経常赤字は前年比42%増の471億ドルに拡大したが、国際通貨基金(IMF)によると、今年は491億ドルまで膨らむ見通し。国内総生産(GDP)比5%を超える高い水準だ。

S&Pを含む世界3大格付け会社はいずれもトルコ国債を投機的等級に格付けしている。S&Pは「ダブルB」以下を「投機的要素が大きい」と定義しており、今回の格下げはトルコ国債の「投機性が強まった」という判断を意味する。

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