独メディア大手のアクセル・シュプリンガーは8日、トルコ事業からの撤退時期を前倒しする方針を明らかにした。同社が保有する現地テレビ局ドアンTVの株式7%の売却額を1億6,000万ユーロに下げて撤退を急ぐ。以前の合意では、売却時期については2020年以降、売却額は1億7.100万ユーロとされていた。現地メディアの『ヒュリエット』や米CNNによると、今回の撤退前倒しには、ドアンTVの親会社ドアン・ホールディングが政府寄りのメディア大手デミロレン(Demiroren)にメディア関連事業の売却を予定していることが背景にある。
シュプリンガーのデプナー社長は会見で、「報道の自由は世界の多くの地域で弱まるか、またははっきりと危険な状況に陥っている」と述べた。トルコでは独日刊紙『ヴェルト』のジャーナリスト、デニス・ユセル氏が今年2月まで拘束されていた。このほか、スロバキアでは現地のジャーナリストで政権関係者の脱税や補助金の不正受給を追求していたヤン・クチアク氏が2月に殺害されている。同氏はシュプリンガーの子会社に関連した仕事も行っていた。シュプリンガーは2015年には、メディア関連企業への外国資本の出資比率を制限する法律を導入したロシアから撤退している。
シュプリンガーは2007年にトルコに進出し、当時放送最大手だったドアンTVの株式の4分の1を取得していた。