世界人口の3分の1が常食しているとはいえ、ヨーロッパで虫を食べる文化を育てるのは大変だ。これに挑戦しているのがチェコの実業家2人が立ち上げたSENSフーズ。昨年、コオロギ入りの商品を市場投入した。まずは販売網を構築し、その後、商品を増やしていく計画という。
同社を立ち上げたフシェクさんとヴァフさんは、そのきっかけとして、昆虫食を勧めた国連の2013年の報告書を挙げた。昆虫は栄養価が高く、従来の家畜に比べて飼育に伴う環境の影響も小さい。また、一般の道徳観では豚よりコオロギを殺す方がいいという点もある。
しかし、頭ではわかっても、昆虫を食べると思うと嫌悪感を覚えるというのは避けられない。そこで、「虫っぽい」ところを極力抑えた事業モデルを考えた。
商品の名前から香り、包装に至るまで工夫した。コオロギの粉は「コオロギ・フラワー」とし、間違っても「粉コオロギ」とはしない。「小麦粉」などでお目にかかる「フラワー(粉)」を名称に使うことで、「食べ物である」ことを前面に打ち出した。
それが当たってか、今では大手スーパーでも同社のプロテインバーやエナジーバー、パンなどを扱うところが出てきた。
SENSフーズはタイのコオロギ養殖業者と提携し、増産の準備を進めている。間もなく月3.5トンの「コオロギ・フラワー」を生産できるようになり、世界2位に躍進する見通しだ。