ブルガリアのコズロドゥイ原子力発電所で先ごろ、プラズマ式溶融炉を利用した放射性廃棄物の処理施設が稼働を開始した。欧州復興開発銀行(EBRD)によると、同施設は同原発で発生する低・中レベルの放射性廃棄物の減容を目的としたもので、建設費は3,100万ユーロ。うち65%はコズロドゥイ国際廃炉支援基金(KIDSF)、残りはブルガリア政府が拠出した。運営は同原発の廃炉を実施する同国の国営放射性廃棄物会社(SERAW)が行う。
新施設では稼働中の原子炉並びに廃炉の過程で発生する廃棄物合わせて年間250トンを処理する。プラズマ式溶融炉は金属を溶解・酸化させるほか、コンクリートのデブリ、砂、無機化合物、断熱材及びアスベストを溶解してガラススラグとすることができる。液体や有機化合物は蒸発するため容量を減らすことが可能だ。
コズロドゥイ原発には、2002年から06年にかけて稼働を停止し廃炉が進められてきた1号機から4号機と、現在稼働中の5号機及び6号機がある。欧州連合(EU)は旧ソ連製の原子炉を持つ同原発の閉鎖を求め01年にKIDSFを設立、これまでに欧州委員会及び一部のEU加盟国が計9億ユーロを投じてきた。
同施設の建設は、スペインの電力大手イベルドローラ社グループのエンジニアリング・建設子会社イベリンコ社と、ベルギーのベルゴプロセスが行った。
ブルガリアはまた、昨年から放射性廃棄物の長期貯蔵施設の建設を開始している。稼働は2021年を予定する。