イタリア大統領府は18日、マッタレッラ大統領が訪問先のアゼルバイジャンで、「アドリア海横断パイプライン」(TAP)プロジェクトへのイタリアの参加に変更がないことを再確認したと発表した。TAPはアゼルバイジャンのシャーデニス・ガス田からロシアを経由せずに欧州に天然ガスを輸送する「南ガス回廊」の最終区間にあたる。
TAP参加を巡っては、6月に発足した伊ポピュリスト新政権が当初、パイプライン敷設によるオリーブ栽培地への影響を訴える抗議を受けて懸念を示したことから、動向が注目されていた。ロイター通信が関係筋の情報として報じたところによると、政府は環境への影響を最小限に抑えるため敷設地の変更を検討しているもようだ。
TAPはブルガリアからイタリアまで全長870キロメートルに及ぶ。2016年5月に着工し、19~20年の完成を目指している。当初の輸送量は年100億立方メートルを予定する。
「南ガス回廊」はTAPのほか、アゼルバイジャンからジョージアを経由してトルコに至る「南コーカサスパイプライン」(SCP)、トルコのアナトリア高原を通りブルガリア国境までを結ぶ「アナトリア横断パイプライン」(TANAP)によって構成される。すでにトルコへの輸送を開始している。