ポーランドのドゥダ大統領は20日、訪問先のオーストラリアで開催された両国のエネルギーフォーラムで講演を行い、ポーランドが中東欧のエネルギーハブを目指す意向を明らかにした。同国が進めるエネルギー供給元の多様化に向けた事業を土台に、中東欧の欧州連合(EU)加盟国12カ国が加盟する協力フォーラム、「スリー・シー・イニシアチブ」(Three Seas Initiative)の一環として推進する。
ポーランドは石炭燃料を中心としたエネルギー消費からの脱却とロシア産天然ガスの輸入依存度引き下げに向けて、北西部のシフィノウイシチェのターミナルを利用した液化天然ガス(LNG)の輸入プロジェクトや、ノルウェーからの天然ガス輸入を目的とするバルチック・パイプ計画などを進めてきた。昨年11月には同国の石油ガス大手PGNiGが英エネルギー大手セントリカと米国産LNGの5年間の供給契約を結んだほか、今年6月にはポーランド政府と国営ガス会社ガスシステムがバルチック・パイプのルートの絞り込みを発表している。
欧州では1980年代後半から統一ガス市場の構築に向けたパイプライン網の整備が構想されてきた。ポーランドで関連プロジェクトを主導してきたのがガスシステムで、バルチック・パイプやシフィノウイシチェLNGターミナル以外にも、ポーランドとチェコ、スロバキアをそれぞれ結ぶ南北ガス回廊や、ポーランド-リトアニア間のパイプライン、ロシア北極圏からのガスを輸送するヤマルパイプラインからの受け入れ能力拡大などを計画してきた。欧州委員会も2013年にこれらのプロジェクトをEUの共通利益プロジェクト(PCI)に指定し支援を行っている。