英米系格付け大手のフィッチ・レーティングスは4日、最新のトルコ経済成長見通しを発表し、今年については7月発表の4.5%から3.8%へ、来年は3.6%から1.3%へ下方修正した。2020年は3.9%まで回復するとみている。2ケタ台の高水準が続くインフレ率については、10%を切るのは20年末になるとの見方だ。
フィッチは今回の下方修正について、不確定要素が多く、先を見通すのが難しい中での判断だったと説明。リスクとして、政策決定の誤りや民間部門の財務負担の拡大、中東地域の緊張、資本流出などを挙げた。
トルコは通貨リラの下落で輸入品価格が高騰し、8月のインフレ率は2003年末以来で最高の17.9%へ上昇した。中央銀行が利上げすることでリラ買いが進んだとしても、インフレ率が10%を割るのは20年末になるとみる。
リラ安は一方で、トルコ経済をけん引する輸出には有利となる。主力産業の一つである観光業も訪問客増加で景気に貢献しそうだ。
国家財政は景気減速による減収で、今年は対国内総生産(GDP)比で3.2%、来年は3.6%の赤字となる見通しだ。