米国とトルコ、政府高官に対する制裁を相互に解除

米国とトルコは2日、相互の政府高官に対する制裁措置を解除した。米国人牧師の拘束問題を機に冷え切っていた両国関係が改善に向かうしるしとみられている。ただ、両国は他の問題でも対立しており、楽観は許されない状況だ。

米国は今年8月、トルコのギュル法相とソイル内相に対し、牧師の逮捕・拘束で主導的な役割を果たしたとして制裁措置を適用した。トルコは報復措置として、米国のニールセン国土安全省長官とセッションズ検事総長に対する制裁を発表した。

先月12日にトルコで米国人牧師の釈放が決まった後、両国大統領が電話会談で今回の相互制裁解除で合意。米国が2日に解除を発表し、トルコが同日これに続いた。

牧師拘束問題は一段落したものの、両国は◇シリア北部のクルド人勢力に対する米国の支援◇トルコによるロシア製ミサイル防衛システムの調達計画◇米国におけるトルコ国営銀理事の対イラン制裁違反での懲役刑判決――といった点でも対立しており、これがトルコ経済の重荷になっている。

問題の米国人牧師は20年にわたりトルコに在住。2016年のクーデター未遂事件後、クーデターを主導したとされるギュレン氏を支援するクルド人武装勢力との関係を問われて逮捕された。今年7月までは拘置、それ以降は自宅軟禁下におかれていた。先月の公判では有罪となったものの、すでに2年間拘留されていたことを理由に釈放された。

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