トルコ・ストリーム、欧州ラインが東欧経由に

天然ガス世界最大手のロシア国営ガスプロムは11月30日、トルコからブルガリア経由でセルビアに天然ガスを輸送する方針を明らかにした。ロシアとトルコを結ぶパイプライン「トルコ・ストリーム」を通じて中欧にガスを供給する。これによって、同パイプラインの欧州部分がブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロバキアの経路で接続されることが決まった。2020年に送ガスを開始する見通しだ。

ブルガリアの天然ガス輸送公社ブルガルトランスガスは、トルコ国境までの11キロ区間とセルビア国境までの484キロ区間にパイプラインを新設する。パイプライン圧縮機2基を合わせた投資額は27億6,700万レフ(14億1,500万ユーロ)に上る。

ガスプロムは、対立関係にあるウクライナを迂回して欧州に天然ガスを輸出するルートの整備を進めている。トルコ・ストリームはこの戦略に沿うもので、年間輸送能力157億5,000万立方メートルのラインを2本敷設する。1本目はトルコ市場向け、2本目は欧州市場向けで、トルコ国境から欧州に輸送するルートとしてはギリシャ・イタリアルートも候補に挙がっていた。

ブルガリアにとって今回の決定は、欧州連合(EU)の反対で中止された「サウス・ストリーム計画」の復活を意味する。サウス・ストリームに比べると輸送量は半分だが、エネルギー政策上の意味は大きい。

ただ、欧州委員会はガスプロムがブルガリア内のパイプライン整備費を負担することを禁じており、まずは費用調達が課題となる。また、計画の実現には今後、ブルガリアとEUが詳細条件で一致することが必要だ。(1BGN=65.89JPY)

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