中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2019/4/10

総合・マクロ

中東欧経済、成長鈍化の見通し=WIIW春季予測

この記事の要約

ウィーン経済比較研究所(WIIW)がこのほど発表した最新の中東欧経済予測によると、同地域の経済成長は今後、鈍化する見通しだ。輸出への依存が大きいことから、世界、特に欧州経済の動向に左右されやすいうえ、人件費高騰で投資先と […]

ウィーン経済比較研究所(WIIW)がこのほど発表した最新の中東欧経済予測によると、同地域の経済成長は今後、鈍化する見通しだ。輸出への依存が大きいことから、世界、特に欧州経済の動向に左右されやすいうえ、人件費高騰で投資先としての魅力に影が差している。競争力を維持するには数々の改革・刷新が必要と指摘している。

中東欧経済の輸出依存度の高さは、◇グローバルな景気減速◇米国の保護主義的政策◇英国の欧州連合(EU)離脱◇ユーロ圏の景気減速――といった外的要因から大きな影響を受けることにつながる。特に、製造業の国際的なサプライチェーンに組み込まれているチェコ、スロベニア、スロバキア、ハンガリーへの打撃は強い。

中東欧地域固有の事情としては、労働力不足の深刻化が最大リスクだ。賃金上昇で生産地としての競争力が衰え始めている。

長期的にはこれに加え、◇戦争・飢餓を除けば例を見ないほど急速に人口が減少◇国家機関の機能の弱体化・独立性の縮小◇デジタル化への準備不足◇アジア、北米、西欧に比べ自動化が進んでいない――といった点が挙げられる。対応策としては◇一般・職業教育への予算を増やしてデジタル化・自動化を担う人材を育成する◇そのうえで社会全体の自動化・デジタル化を推進し、人口減少を補う◇国家機関の機能・独立性の強化(EU加盟国については、場合によってEUによる介入もあり得る)で投資家の信用を維持する――といった措置が望まれる。