鉄鋼世界最大手のアルセロールミタル(ルクセンブルク)は6日、ポーランドのクラクフ工場の高炉と鉄鋼生産施設の稼働を停止する計画を明らかにした。排出権取引のコストとエネルギー価格の上昇を理由に挙げている。停止期間については明らかにしていない。
同社は「ポーランドのエネルギー価格は欧州連合(EU)域内で最も高い」と指摘した上で、今回の停止は鉄鋼製品の市況とも一部関係していると述べた。
同社はポーランド最大の鉄鋼メーカーで、5つの鉄鋼工場とコークス工場を持つ。国内で1万人余りを雇用しているが、停止により高炉と鉄鋼生産施設に関連する1,200人の雇用に影響する可能性がある。
同国は電力を石炭火力に依存している。昨年にはEUにおける排出権取引価格が上昇し、国内の電力価格の高騰につながった。政府は家庭向けの電力小売価格に上限を設けたが、産業向けについてはEUの補助金ルールに違反する恐れがあることから価格制限を導入していない。
同社はポーランド国営企業のJSWからコークス用石炭を購入しているが、コークス工場の稼働には変更がないことからJSWからの購入計画には影響しないとしている。