欧州委員会は5月29日に発表した欧州連合(EU)拡大に関する年次報告書で、加盟候補国となっている北マケドニア(旧マケドニア)とアルバニアについて、加盟交渉の開始を現加盟国に勧告した。加盟国は近く交渉開始の是非を判断する。
旧マケドニアは2005年、アルバニアは14年に加盟候補国として認定されたが、EU入りに向けた次のステップとなる加盟交渉開始は見送られてきた。両国の政治・経済改革や汚職、組織犯罪対策の遅れが表向きの理由だが、EUが多くの旧共産圏諸国を短期間に受け入れたことで“拡大疲労”に直面していることも背景にある。マケドニアに関しては、国名をめぐってギリシャと対立していたことも障害となってきた。
欧州委は昨年4月、両国との加盟交渉開始を勧告し、加盟国は6月に承認した。ただ、フランスとオランダが早期の交渉開始に反対し、加盟条件を満たすための改革を続けるという条件が付き、交渉開始も欧州議会選終了後の6月にまで先送りすることになっていた。
欧州委は今回、マケドニアが国名を「北マケドニア共和国」に改名し、国名をめぐるギリシャとの対立に終止符を打ったことや、両国で汚職、組織犯罪対策などが進んだことを評価し、条件を満たしたと認定。改めて加盟交渉を勧告した。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は、両国が約束を守ったとして、即座に交渉を開始する必要があるとしている。
バルカン諸国ではスロベニア、クロアチアがEUに加盟。モンテネグロとセルビアが加盟交渉を行っている。