欧州復興開発銀行(EBRD)は3日、ウクライナの製薬会社ユリア・ファーム(Yuria
Pharm)に最大2,500万ユーロを融資すると発表した。償還期間は6年。同社は調達資金を、廉価で少量でも購入できるガン治療薬の生産ラインの新設など生産体制の拡充に振り向ける。
ユリア・ファームは1998年、旧ソ連時代から続く乳業会社の製薬研究部門を基盤に設立された。ガンなどの集中治療薬、医療機器、殺菌剤などを製造し、国内病院向け市場では業界2位につける。ロシアやウズベキスタンなどの近隣諸国や、ウガンダ、ケニアなどアフリカに加えベトナムにも事業進出している。
ウクライナ保健省によると、国内のガン患者数は100万人を超える。政府は現在、低所得層の患者の負担軽減策として、ガン治療薬の補助金支給や無料提供といった措置を行っているが、必要としている人の約3割しか恩恵を受けていないという。ユリア・ファームの生産体制増強により、低価格でのガン治療が普及すると期待される。
EBRDは1993年にウクライナでの投資支援を開始した。これまでに418のプロジェクトに合計131億ユーロを融資している。