英米系格付け大手のフィッチ・レーティングスはこのほど、クロアチアの信用格付けを「BBプラス」から1段階引き上げ、「BBBマイナス」とした。これによりクロアチアは7年ぶりに「投資適格級」に復帰した。3大格付け会社では3月のスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル・レーティングス(S&P)に続く動きだ。ムーディーズ・インベスターズは投機的カテゴリーの中で一番上の「Ba2」に据え置いているが、見通しは「強含み」としている。
フィッチは、政府による財政赤字縮小、財政均衡、経済成長策を高く評価した。この実績を踏まえ、財政健全化が継続して財務の枠組みが改善し、マクロ経済環境が安定するとみる。ただ、経済成長率は今年3%弱にとどまる見通しだ。
クロアチアの財政収支は過去3年とも目標を上回った。欧州連合(EU)財政規律の規定より速やかに政府債務を削減しており、来月までに統一通貨ユーロ導入の前段階となる欧州為替相場メカニズム(ERM2)への参加意向書を提出する方針だ。早ければ2023年にも導入が可能になる。
フィッチの予測によると、クロアチアの2019、20年の年間成長率は平均2.4%と、「BBB」級諸国の中央値(3.1%)を下回る。それでも、20年には国内総生産(GDP)で世界経済危機前の水準を回復できる。