ブルガリアの通信大手ビバコム(Vivacom)が売却される見通しだ。同社を保有する投資家連合のスパス・ルセフ代表はこのほど、米投資銀行のラザードに売却業務を委託したと認めた。ただ、ビバコムの所有権をめぐっては旧オーナーとの訴訟が続いており、これが交渉にどう影響するか予見は難しい。
ルセフ代表によると、ビバコムは今年の営業利益(EBITDA)で1億9,000万ユーロを計上する見込みだ。最近の東欧地域におけるM&A取引を参考にすると、取引額は12億ユーロ前後に上るとみられる。
ビバコムは2004年に民営化され、12年にルクセンブルグの投資会社インターVに買収された。しかし、インターVがロシアVTB銀行の英子会社VTBキャピタルへの債務を履行できず、15年に競売にかけられた。その結果、投資家連合がビバコムを3億3,000万ユーロで買収した。
これに対し、インターVの親会社だったエンプリノ(Empreno)・ベンチャーズのオーナーで、ロシア実業家のコサレフ氏は、競売に至る過程や取引に不正があったとして提訴した。今月のロンドン高等法院の判決も含め、これまでのところはすべて敗訴している。
ビバコムの出資比率はルセフ氏が46%、VTBキャピタルが20%マイナス1株、ヴェルチェフ元財務相の投資会社デルタ・キャピタル・インターナショナルが19%で、残りはビバコムの旧債権者が握っている。