欧州委員会は1日、家電製品や電気設備などのエネルギー効率を改善するためのエコデザイン実施規則(eco-design
implementation
regulation)を発表した。修理可能性とリサイクル可能性に主眼を置き、製品ごとにスペア部品の在庫保証期間を定めるなど、製品寿命を延ばすための措置が盛り込まれている。欧州連合(EU)官報への掲載から20日後に新規則が発効する。
エネルギー関連製品を対象に、環境に配慮した設計を行うことをメーカー義務付けた「エコデザイン指令」は、製品ごとにエネルギー効率などの環境パラメータに関する最低限の必要条件を定めている。今回採択されたエコデザイン実施規則の対象は、冷蔵庫、洗濯機、食洗機、テレビを含む電子ディスプレイ、照明システム、変圧器など10の製品グループ。このうち8つの製品グループについては既存の実施規則が改正され、自動販売機をはじめとする業務用冷蔵庫と溶接機器については新たに規則が導入される。
実施規則は製品グループごとにスペア部品の在庫保証期間を定めている。製品を修理して長く使うことができるようにするための措置で、例えば冷蔵庫は最低7年、洗濯乾燥機は最低10年、食洗器は最低10年となっている。さらにメーカーに対し、スペア部品の発注から15営業日以内の納品を義務付けている。
欧州委は新たに導入される一連と措置と既存のエコデザイン実施規則、さらにエネルギーラベリング制度の効果により、2030年までにEU全体でエネルギー消費量を年間167テラワット時(TWh)削減することが可能と試算している。これはデンマークの年間エネルギー消費量に匹敵し、二酸化炭素(CO2)換算では年間4,600万トンの温室効果ガス排出が抑制される。さらに、欧州では1世帯当たり年間150ユーロの節約につながると説明している。