鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)は11日、ルーマニア西部のフネドアラ製鉄所の操業を今月1日に停止したと発表した。国内のガス・電力価格の高騰と市場環境の悪化が理由で、暫定的な措置だとしている。フネドアラ製鉄所の従業員640人は有給休暇を消化したあと、一時帰休となる予定だ。
ルーマニアでは近年、事業者向けガス・電力価格がフランスやドイツを大きく上回る水準まで上昇している。フネドアラ製鉄所は電気炉を採用しているため、エネルギーコストは大きな負担で、欧州市場で需要が冷え込む中、低価格の輸入品に対する競争力が激減している。
アルセロール・ミタルは2004年、ガラツィ製鉄所を買収しルーマニアに進出した。同製鉄所は年産能力3万トンで国内最大。2つの製鉄所に加え、ヤシ、ロマン、フネドアラに製品工場、東部のトゥルチャに石灰石採石場、ガラツィに陸揚げ港を持つ。