2020/2/19

総合・マクロ

ロシア政府、中銀からズベルバンクの過半数株を買収

この記事の要約

取引を通じて福祉基金よりも支出制約の小さい国家財政に資金を移動し、プーチン大統領が先月提案した社会福祉政策の資金を生み出す意図も背景にあるとみられる。

中銀は取引に関連し、ズベルバンクの少数株主に株式の買収提案を実施する。

消息筋によると、中銀は売却額のうち7,000億ルーブルで2017年に実施した民間銀行3行への資金援助の支出を相殺し、残りを国庫へ納める。

ロシア政府が国民福祉基金(NWF)の資金を用いて、中央銀行からズベルバンクの株式50%プラス1株を買収する計画だ。中銀が国内最大手銀行の経営権を持つことに対する懸念を払しょくするのが狙い。プーチン大統領が1月に提案した社会福祉政策の資金を生み出す意図もあるとみられる。

福祉基金は政府の準備金の役割を果たし、石油・天然ガス収入の一部が積み立てられる。財務省は基金の積立額が、支出が許される要件である国内総生産(GDP)の約7%(1,256億ドル)に達したことを受け、今年から支出にゴーサインを出した。

中銀は1991年以来、ズベルバンクに出資してきた。シルヤノフ財務相は11日、今回の取引で「中銀がズベルバンクの過半数株を保有することが利害の対立を生むかどうかという議論に決着がつく」と意義を強調した。

財務省はズベルバンク株を「時価」で取得するとしているが、複数の消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、取引額は2兆4,500万ルーブル(3,900万ドル)と推定され、時価の2兆8,000万ルーブルを下回る見通しだ。財源は国民福祉基金で、「(法律で保留が義務付けられている)GDPの7%を超える分から支出する」(シルヤノフ財相)という。

他の消息筋によると、取引は今年4月から段階的に進められ、来年半ばに完了する予定だ。中銀は取引に関連し、ズベルバンクの少数株主に株式の買収提案を実施する。

消息筋によると、中銀は売却額のうち7,000億ルーブルで2017年に実施した民間銀行3行への資金援助の支出を相殺し、残りを国庫へ納める。財務省は受け取り分のうち9,000億ルーブルをプーチン大統領の社会福祉政策予算に充てるもようだ。(1RUB=1.74JPY)