2020/3/18

総合・マクロ

ロシア下院が改憲法案可決、プーチン大統領の再出馬可能に

この記事の要約

ロシア下院は10日、プーチン大統領の任期を「リセット」してゼロに戻せる修正を盛り込む形で新憲法案を可決した。

新憲法案をめぐっては任期制限の完全撤廃を支持する声もあったが、プーチン大統領は10日の下院演説で「ロシアの内政が安定し、国として成熟したあかつきには、大統領の権力が一個人と結びつく状況を避けるため、政権交代が必然的に起こるようにしなければならない」と反対する立場を明らかにした。

その上で、ロシアはまだ「傷つきやすい」とし、「外国の圧力や干渉」に対抗するため「国民の賛意が得られ、憲法裁判所が合憲と判断すれば」再出馬を考えると話した。

ロシア下院は10日、プーチン大統領の任期を「リセット」してゼロに戻せる修正案を盛り込んだ憲法改正案を可決した。大統領が2024年選挙に再出馬する前提条件を整える狙い。プーチン氏は最長で36年まで続投できるようになる。上院の承認と来月の国民投票を経て、発効する見通しだ。

改憲案は大統領任期の上限を現行の「連続2期」から「生涯2期」に厳格化し、プーチン大統領の再出馬への道を閉ざすはずだった。しかし、世界初の女性宇宙飛行士として知られるテレシコワ下院議員が、新憲法発効と同時にすべての候補者の任期を改めてゼロから数えるよう提案。この修正案を下院が賛成多数で可決した。

憲法改正をめぐっては、大統領任期制限の完全撤廃を支持する声もあったが、プーチン大統領は10日の下院演説で「ロシアの内政が安定し、国として成熟したあかつきには、大統領の権力が一個人と結びつく状況を避けるため、政権交代が必然的に起こるようにしなければならない」と反対する立場を明らかにした。その上で、ロシアはまだ「傷つきやすい」とし、「外国の圧力や干渉」に対抗するため「国民の賛意が得られ、憲法裁判所が合憲と判断すれば」再出馬を考えると述べた。

国民投票は来月22日に行われるが、成立要件(最低投票率)はなく、単純多数の賛成で足りる。また、憲法裁判所が違憲判決を下すことはほぼないと考えられ、新憲法の発効が確実視されている。