欧州委員会のヨハンソン委員(内務担当)は5日、新型コロナウイルスの感染防止策として実施している域内の出入国制限について、6月末までに解除する方針を明らかにした。夏の休暇シーズンを前に域内の移動制限を撤廃し、欧州連合(EU)の基本理念である「移動の自由」を復活させる。一方、第三国からEU域内への入域制限に関しても、7月から段階的に緩和する方針を示している。
ヨハンソン氏はEU各国の内相とのテレビ会議後に記者会見し、月末までに域内国境を開放する方針を表明した。同氏は多くの加盟国が今月15日までに出入国制限の解除を打ち出していると指摘。「シェンゲン圏内ではもはや国境管理を維持する明確な理由が存在しない」と述べ、月内にすべての加盟国が制限解除で足並みを揃えると説明した。
一方、同氏は第三国からEU域内への入域を原則禁止する措置について、6月末まで延長したうえで、7月から段階的に渡航制限を緩和する考えを示した。欧州委は近く加盟国に対し、同措置を約2週間延長するよう提案すると共に、7月以降の段階的緩和に向け、具体的な条件などを盛り込んだ指針を提示するものとみられる。
EUは3月17日の緊急首脳会議で域内への渡航を30日間禁止する措置を決定。アイルランドを除くEU26カ国とシェンゲン協定に参加する非EU4カ国(ノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン)は同措置に基づき、域外に在住するこれら30カ国の市民とその家族、EU加盟国の長期在住者、医療従事者や運送従事者などを除き、不要不急な渡航を原則禁止している。同措置はこれまでに2回延長され、現在の期限は今月15日となっている。