クマの獣害増える~ルーマニア

欧州の原生林の3分の2があると言われるルーマニアで、人がクマに襲われる事故が増えている。襲われれば命の危険が伴うため、狩猟ロビーからはクマ猟解禁を求める声があがっている。これに対して、自然保護活動家は保護区設置でクマの生息圏を守ることを提案している。

ルーマニアには推定4,000~5,000頭のクマが生息している。中部のシギショアラに近いビダクト村ではここ数カ月でクマによる襲撃事件が20件以上起き、村長は頭を抱えるばかりだ。

猟師らは2016年に施行されたクマの狩猟禁止を解くよう求めている。しかし、この背景には西欧からの旅行者向けのクマ狩りツアーを再開したいという思惑もある。

一方、生物学者のラスロー・ガルさんは「自然保護林のヤミ伐採でクマの生息圏が縮小しているのが原因」と説明する。「クマは本来、人間を食べない。人を襲うのは、たまたま出くわして追い払おうとした結果」だという。このため、狩猟解禁ではなく保護区を設け、人とクマが共存できるようにすべきと考えている。

ルーマニアではビダクト村以外でも同じような事故が起こっているが、正確な統計がなく、全容はわかっていない。

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