ユーロ圏16行が欧州独自の決済システム構築、22年の稼働目指す

ドイツやフランスなどのユーロ圏5カ国の大手銀行16行は2日、欧州独自の決済システムを共同で立ち上げる計画を発表した。欧州連合(EU)全域で利用できるクレジットカードやオンラインなどの電子決済システムを構築し、2022年に稼働させる。現金取引が全体の半分を占める小売業界を含め、決済のデジタル化を推進する。

EU内では中銀当局者らの間で以前から、米クレジットカード大手のビザやマスターカード、さらに中国IT大手アリババグループの電子決済「アリペイ」などに対抗して、第三国に依存しない欧州発の決済システムを確立すべきだとの声が上がっていた。現在は独自システムを導入している国も多く、欧州の決済サービス市場は分断化されているが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて現金取引が敬遠される中、域内共通システムの構築に向けた動きが一気に本格化した。

「欧州決済イニシアチブ(European Payments Initiative=EPI)」と名付けられた計画には独コメルツ銀行、ドイツ銀行、仏BNPパリバ、 ソシエテ・ジェネラル、スペインのBBVA、サンタンデール、オランダのING、ベルギーのKBCなどが参加している。16行は近くブリュッセルに新会社を設置する方針で、他の決済サービス企業にも参加を呼びかけている。

計画によると、EPIは域内のどこでも利用できる電子決済システムを構築し、銀行のカードやスマートフォンなどで店舗やオンラインでの買い物のほか、現金の引き出しや個人間の送金もできるようにする。

欧州中央銀行(ECB)はEPIの取り組みを歓迎している。パネッタ専務理事は声明で「欧州小売市場で決済システムが分断化されている現状を改善し、最終的にはEU全域をカバーする共通システムを構築する必要がある。EPIの参加企業が増えれば新システムがより安定的に運用される」と述べた。

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