ベオグラード市が緊急事態を再宣言

セルビアの首都ベオグラード市が3日、緊急事態を宣言した。新型コロナウイルスの新規感染者数が、これまでのピークだった4月初めの数値に近づいているためだ。公共の場でのマスク着用義務や飲食店の営業時間短縮など、3月から5月にかけて全国で実施された感染予防措置が部分的に再び導入される。ブチッチ大統領は、今後の状況次第では「7日間の外出禁止措置を全国で導入することも考えられる」と話した。流行拡大の原因は政府が規制緩和を急いだためとみられ、当局発表の感染統計や「事態は制御可能」とする報道に疑問の声もあがっている。

ベオグラード市で発効した予防措置は、◇公共交通機関、店舗、公官庁などにおけるマスク着用を義務化◇飲食店は23時で閉店◇100人超の屋内集会、200人超の屋外集会を禁止◇他人と最低1.5メートルの距離をとる――など。違反者は最高5,000ディナール(約42ユーロ)の罰金に処される。これらの規定は、まずは今月18日まで施行される。

中部のクラグイエヴァツ、南西部のヴラニエの自治当局は感染者増加を受けて、すでに緊急事態宣言を発令した。テレビでは「事態は制御可能」と報道されているが、政府がメディアを強く統制していることや、ソーシャルメディアで緊迫した現地の状況が伝えられていることなどから、医療崩壊への懸念が強まっている。

セルビア政府は5月6日の緊急事態宣言解除を機に多くの規制を緩和した。これが今回の感染拡大を招いたとみられる。例えば、欧州諸国の中でもいち早くスポーツイベントを解禁。6月初め以降、観客を入れたプロのサッカー試合や、宗教行事が開催され、最大で2万人の入場者を記録した。6月21日には議会選挙が実施されたが、関連イベントは新型コロナ流行前のような混雑ぶりだった。これまでに、スポーツ選手だけでなく、選挙勝利の催しに出席した国会議長や防衛大臣など与党政治家の中にも感染者がみつかっている。

西バルカン地域ではセルビアだけでなくクロアチアや北マケドニア、コソボでも新型コロナ感染者が増加しており、欧州連合(EU)加盟国との人の行き来が再び制限される可能性も浮上している。(1RSD=1.02JPY)

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