欧州中銀、金融政策維持を決定

欧州中央銀行(ECB)は16日に開いた定例政策理事会で、金融政策の維持を決めた。新型コロナ危機への対応で6月に大規模な量的金融緩和を決めたばかりで、ユーロ圏の景気も持ち直しつつあることから、現時点で追加緩和は不要と判断した。

ECBは新型コロナウイルス感染拡大への対応として、3月12日の定例政策理事会で年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを決定。同月には追加措置として「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と呼ばれる新たな資産購入プログラムの実施を決め、国債、社債といった資産の購入を拡大した。PEPPの購入枠は当初7,500億ユーロだったが、6月に1兆3,500億ユーロに拡大したほか、20年末としていた購入期間を少なくとも21年6月末まで延長することを決めていた。

今回の理事会では、PEPPの購入枠を維持するほか、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.5%に据え置くことを決めた。

ユーロ圏では経済活動が徐々に再開に向かっており、景気が回復しつつある。株価、国債価格も持ち直している。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、4月に景気が底を打ったとの認識を示した。ロイター通信などによると、理事会メンバーからはPEPPの購入枠をすべて消化しなくても乗り切れるという声も出た。

こうした状況を踏まえて、ECBは追加緩和を見送り、様子を見守ることにした。ただ、ラガルド総裁は新型コロナ感染の第2波への懸念があるなど、景気の先行きは依然として不透明で、「なお下振れリスクがある」と指摘。物価が上がりにくい状況も続くとして、「驚くような大幅な回復」がない限り、予定通りPEPPを実施していく必要があると述べた。

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