チェコ、モビリティ分野の技術振興ハブを設立

チェコの投資促進機関、チェコインベストはこのほど、モビリティ分野の技術振興に向けたハブ拠点である「モビリティ・イノベーション・ハブ」を形成する計画を明らかにした。同機関とチェコ自動車工業会(AutoSAP)が旗振り役となり、今後5年間に渡って関係企業・団体を支援していく予定。同ハブでは自動運転やデジタル化などを軸に、主に運輸・ロジスティクス分野に関する研究開発を促進する。政府や自治体、大学、企業を巻き込み、官民一丸で取り組む方針だ。

同ハブの運営費用は官民双方が負担する。民間からは同国の自動車大手シュコダをはじめ、AutoSAPやモラビア・シレジア自動車クラスターが参加する予定。チェコインベストは同ハブについて、欧州宇宙機関(ESA)が同国のプラハやブルノに置くビジネス・インキュベーションセンターをイメージしている模様だ。

モビリティ・イノベーション・ハブの活動が主な対象とするのは新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けている自動車産業だ。チェコにおける同産業の就業人口は17万人に上り、国内総生産(GDP)の1割を占めるが、コロナ禍を受けて生産は前年レベルの3分の2まで落ち込んでいる。AutoSAPのペツル会長は、同ハブはモビリティ関連分野のイノベーションを促進すると共に、新しいアイデアやソリューションを自動車関連企業のノウハウと能力に結び付けるものになると述べた。

ハブの設置に向けた取り組みについては未だ準備段階にあり、現在は産学両方の参加団体を募集している。チェコインベストのパトリック・ライフル代表は、コロナ禍に見舞われているこの時期に新技術の開発を促進することは重要な意味を持つと述べ、同ハブはそれに貢献するものだと期待を示した。